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組子細工メイン画像

現代の曼荼羅とも言える「組子細工」。歴史は古く、現存する最古の建築では飛鳥時代の建築物である、法隆寺の金堂・五重塔・中門などの高欄に卍を崩した形を繰り返した文様の組み子である「卍崩し組み子」が見られます。 また、室町時代になると障子の桟などに組子の装飾が施された建具や欄間が見られる様になりました。 江戸時代までは比較的シンプルな組子が多いのですが、現代では、デザインは200種類以上あると言われ、伝統的な物から、細かく精巧な幾何学模様のデザインまで増えています。 この様に組子細工は光や影を持って空間を作り出し、四季の移り変わりを感じる事が出来る職人が生んだ技で、日本の建築物独特の技を感じる事が出来る貴重な物となっています。

組子細工とは、釘を使わずに、数ミリ程度の細かな木片を組み付け、和室の障子や欄間などを様々な模様を作る建具の技法です。その木片を規則正しく組み合わせて様々な幾何学模様を表現する芸術作品でもあります。
木片には溝・穴など独特の加工を施し太さやサイズを調節しながら1本1本組付けしていき模様を表現していきます。 鎌倉時代から長い年月ををかけて磨きぬかれた、この木工技術・工芸作品の事を「組子細工」と言います。
組子は、材料である木材(主にヒノキ・スギなど)を使用しますので、木それぞれの特有のクセや性質を熟知している必要があります。
木の組み合わせは僅か0.1mmの誤差があってもうまく組み付けが出来なくなるため、良質な材料を選別できる目もなければ、うまく加工できません。こうした精巧な技術は、習得するのに相当の年月が必要です。

和室離れが進んでいる昨今。今でもこの組子細工が残っているのは、まず一つに普段の生活空間の中に伝統的な技法を調和させ和の心を重んじたい気持ちがあると思います。また、もう一つは組子細工のデザインの規則正しく並んだ幾何学模様の美しさやそこから漏れてくる光で見える組子のシルエットの美しさにあると思います。組子細工は木片が縦・横・斜めと規則正しく並んでいるシンプルな作り型ですが、その模様は無数にある為、和の心に染み入る生活空間を取り入れる事ができます。

組子細工のデザインは大きく分けて2種類に分けられます。
菱を基調とした組子細工の基本模様である「菱組子」。もうひとつは縦・横の水平・垂直を基本にした「格子組子」です。 上記のデザインを基本の地組(ぢぐみ)として葉っぱ(組子部品)を空き部分にはめ込んでいきます。
デザインはその組み合わせにより数百以上にもなり、それぞれに適合した刃物、木型、道具を選ぶことから作業は始まります。
組子細工の模様にもトレンドがあり年々少しずつですが変化して行っており、複雑なのに美しい物が求められています。全てのデザインに精通した職人になるためには途方もない時間と情熱を必要とします。

菱を基調とした組子細工の基本中の基本の模様「菱組子」。斜めが絡み合った綺麗なデザインです。
縦・横の水平・垂直を基本にした「格子組子」。規則正しい繊細なデザインです。